20歳そこそこの頃、私は人生に迷走していた。大手声優事務所の養成所に通うも所属には至らず、夢を追うか諦めるか、はたまた違うエンタメ職を目指すかなど、四六時中悩んでいた。
そこである日、同じ境遇の友人と一緒に思い立ったのが、お笑い芸人になろう!だった。
結局、ネタを考えるどころかコンビ名すら決めないまま計画は霧散してしまったので、ほぼ何もしていないのだが、唯一したことが、マセキ芸能社のライブを見に行くことだった。
芸人になるならお笑いの事務所に入ることを第一目標にしようとなり、なんとなくよさそうという理由だけでマセキを選んだ。
当時は、マセキのオーディションを受けるために、マセキ主催のライブの半券が2枚必要だった。そこで、相方(になる予定だった友人)と一緒に、マセキ主催のライブを見に行ったというわけだ。
マセキのサイトを見ると今は10種類ほどのライブがあるようだが、当時は3種のライブがあった。
Aライブ:TVに出るようなレベルの有名芸人が出るライブ
Bライブ:ちょっと有名?ユース所属?の芸人が出るライブ
Cライブ:かなり若手が出るライブ
※ライブ名忘却。
このような感じで、3種類に分かれていた。
私が行ったのは、Cライブ1回、Aライブ1回。初めて行ったのは、Cライブ。確か「オリーブゴールド」という名前で、調べたら現在も同じ名前のライブが行われているようだった。
10年以上前のことなのでもう記憶が曖昧だが、若手だからとしらけることはなく、どの芸人もしっかりおもしろかったのを覚えている。これが低価格で楽しめるなんてお得だ!と感じたものだ。(確かチケットは1,000円程度だった)
演者もネタもほぼ覚えていないが、出演していた芸人の中で唯一覚えているコンビがいる。
それが「三四郎」だ。
当時はまだ若手中の若手で、TVで見たこともなければ名前も聞いたこともないコンビだったが、出演者の中でひときわおもしろい漫才を披露してくれた。ライブが終わった後も、相方と「三四郎が特におもしろかった」と言い合った。
ネタの内容は忘れても「三四郎」という名前だけは忘れなかった。
そして今、「三四郎」は飛ぶ鳥を落とす勢いで活躍している。バラエティー番組はもちろんのこと、ラジオの冠番組も好調のようだ。
あの頃おもしろかった「三四郎」が、ちゃんと売れたのが嬉しい。
また、お笑い界というものが、おもしろい人が売れる世界であるということも、イチお笑いファンとしてとても嬉しい。
(もちろん、おもしろいのに売れない人も星の数ほどいるだろうが……。)
「三四郎」のこれからも楽しみだ。